フードデリバリーの配達員は『運びの何でも屋』に?広がるクイックコマース、ダークストアについて

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こんにちは、タノスケです。

この記事では、フードデリバリーの「次の」需要として、欧米で広がりつつあるクイックコマース、それを担う上で欠かせないダークストアについてまとめました。

コロナ流行とともにバブルの勢いで急速に普及したフードデリバリーですが、ここ最近はフードパンダやDiDiフードの日本撤退など、業者乱立から淘汰の段階になりつつありますよね。

フードデリバリーもここ数年で消滅するのは考えにくいですが、変化の早い時代だけに、新たな可能性を模索し、うまく実行できる企業が生き残っていくのではないでしょうか。

その可能性のひとつになりそうなのが、クイックコマースです。

次代のフードデリバリーを左右する2つのカギ

クイックコマースとダークストアの基本について解説します。

クイックコマースとは

クイックコマースは「Quick=早い」+「Commerce=取引」の造語になります。

つまりより短時間で完了する取引という意味で、具体的には食料品や日用品の即時配達サービスになります。自分で近所の店に行って買い物する感覚で、気軽に商品を頼むことが可能です。

フードデリバリーも注文してから数十分で料理が届くので、クイックコマースのひとつといえますね。

働く側も、これまでのフードデリバリーとさほど感覚は変わらず、スマホで注文を受けたら店舗に商品を取りに行き、注文者のお宅に届ける流れになります。

ダークストアとは

なにやら怪しい響きの名前ですが、ダークストアとはクイックコマースを専門に扱う店舗を指します。店で直接買い物はできないので、倉庫のようなイメージでしょうか。

実はダークストアは以前からあります。たとえば、イトーヨーカ堂は2015年から西日暮里店でダークストアを運営していました。日本撤退したフードパンダもダークストアの「パンダマート」を立ち上げていました。

Uber Eatsを運営するウーバージャパンも、2021年、東京の日本橋兜町にダークストア「ウーバーイーツマーケット」を出店。

2022年2月25日には世田谷赤堤店、5月12日には神宮前店が営業開始するなど、まだ東京の中心部のみとはいえ着実に店舗を増やしています。

宅配やネットスーパーと何が違うの?

クイックコマースは文字通り「商品が届く早さ」が最大の特徴で、既存の宅配便やネットスーパーとは一線を画します。

クイックコマースの一般的な定義として、注文から30分以内に商品が届くというものがあります。

対して、既存の通販サービスはどうでしょうか。

最も有名なネットショッピングとしてAmazonを例に挙げれば、通常より配達の早い「お急ぎ便」を使っても、午前中の注文でギリギリ当日、昼以降の注文なら翌日というのが限界かと思います。

ネットスーパーにしても、たとえばイオンだと夜の注文で翌日の昼間にお届けになり、当日配送もあるにはありますが、15時で受付時間は終わってしまいます。

ですので、食材や日用品など今すぐ欲しい、という需要に応えられるのはクイックコマースだけです。

すでに食品以外のデリバリーは始まっている

頻繁に配達業務をされている方ならお分かりかと思いますが、最近のフーデリは料理以外にも扱う商品が格段にふえています。

代表的な提携先を以下にまとめました。

スーパーマーケット

ウーバーイーツではすでに、マックスバリュ、ビオセボン、KOHYO、成城石井、北野エースといったスーパーマーケットに対応しています。

ウーバー社が利用者や配達員に「今後ウーバーイーツで利用したい商品」についてアンケートを取ったところ、最も票を集めたのは食料品だったそうです。

実際に稼働をしていても、成城石井やマックスバリュなどはよく注文が入りますし、需要の高まりを肌で感じます。

2022年6月1日からは、最大手ともいえるイオン(イオンモール)もスタートしました。

ショッピングモールは広くて時間がかかるから行きたくない、、、という業務上の問題はさておき、今後もますますこの分野でのデリバリーは広がっていきそうですね。

ドラッグストア

食料品以外では、ドラッグストアへの展開も特徴的です。

ウーバーイーツは、クスリのアオキやダイコクドラッグ、ツルハドラッグなど、大手ドラッグストアでの商品も取り扱っています。

最近のドラッグストアは薬以外にも化粧品や日用品、食品などスーパーやコンビニ顔負けの品揃えですので、クイックコマースが広がればかなり便利ですね。

頭痛薬やかぜ薬、胃腸薬などの常備薬が切れていてもすぐに届けてくれるので、急に具合が悪くなっても安心できます。

家電量販店

ウーバーイーツは現在、大手家電量販店のエディオンと提携しています。

取り扱う商品はマウスなどのパソコン周辺機器をはじめ、電池や電球、ヘアドライヤー、体温計や血圧計など、暮らしに欠かせないものがいろいろ。

エディオンの集計によると、一番人気はAnkerのポータブル充電器だったそうです。

確かに、出張や旅行先で充電器やモバイルバッテリーを忘れたのに気づいても、ウーバーで頼めばすぐホテルに届けてくれるので便利ですね。

今後、軽貨物の需要が大きくなるかも

現在、フードデリバリーに使う車両は、自転車やバイクが主力かと思います。

今後クイックコマースの規模がもし広がってくれば、私は軽バンなどの軽貨物の需要が高まるのではないかと考えています。

なぜなら、日用品も広く扱うクイックコマースは、運ぶ荷物のサイズや個数が大きくなることが予想されるからです。

ウーバーイーツ配達での実体験ですが、ドラッグストア(アオキ)でトイレットペーパーをピックしたことがありました。

どう考えてもバッグに入らなかったので、仕方なく足元に置いて運んだことがあります。

やはりバイクや自転車では積載性に限界があるので、荷物をどんどん積める便利な軽貨物はクイックコマースと相性がよさそうです。

この記事のまとめ

注文してから30分以内に商品が届くクイックコマースは、新しい購入行動の流れとして注目を浴びています。

クイックコマースでは食品はもちろん、日用品や医薬品、家電製品など、生活において重要な商品をたくさん取り扱います。

既存のネット通販に比べて圧倒的なスピードを実現するには、ダークストアと呼ばれる配達専門の店舗や、フードデリバリーのシステムが重要です。

フードデリバリー事業者の淘汰が進む中、クイックコマースは配達員の新たな働き場として需要が期待されます。

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