遺骨からダイヤモンドの形見をつくる「ダイヤモンド葬」とは?値段や法律的にはどうなのか

キラキラ輝くダイヤモンド

忘れ形見、という言葉がありますが、この遺骨ダイヤモンドは究極の形ではないでしょうか。

最近は自然葬とか宇宙葬とかいろいろな葬儀の形があったり、後継者がいなくてお墓の問題などがありますが、このダイヤモンド葬はただのキワモノではない可能性を感じさせます。

遺骨に含まれる炭素から人工ダイヤモンドを作るダイヤモンド葬が気になったので、調べたことをまとめたいと思います。

遺骨からダイヤモンドを作る仕組みは

ダイヤモンドが炭素からできているのは中学の理科などで習ったことがあると思います。

人間を含む動物の骨にはいろいろな元素が含まれていますが、直接炭素が豊富にあるわけではありません。

炭素のもとになるのはコラーゲンというタンパク質で、水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、及び硫黄(S)などが含まれています。

火葬されると炭素以外の物質は熱で蒸発してしまい、その結果炭素だけが残ります。

骨以外の身体の組織にも(毛髪や爪など)炭素は含まれているので、厳密には骨からだけではありませんが、これもダイヤモンドの原料となります。

炭素を超高温・超高圧で圧縮しダイヤモンドに

取り出された炭素は、特殊な設備で超高温・超高圧にすることで結晶化し、ダイヤモンドになります。

自然界に存在するダイヤモンドも、地下150km、5万気圧というとんでもない場所で長い年月をかけて作られるので、この状況を人工的に再現するのが人造ダイヤモンドというわけです。

こうして作られた合成ダイヤモンドも、組織や性質は天然のものと変わらず、硬度や輝きもまったくひけをとりません。

遺骨ダイヤモンドを手がける業者

現在、こうした遺骨ダイヤモンドを手がけるのは、スイスのアルゴダンザ社、アメリカのライフジェム社、ロシアのニューエイジダイヤモンド社などがあります。

日本でもメモリアルダイヤモンドを提供する業者はありますが、ダイヤの製造そのものは上記のメーカーに依頼するかたちになります。

遺骨ダイヤモンドの気になる疑問

遺骨からダイヤモンドをつくのに必要は量は?

アルゴダンザ社の公式ページを参考にすると、遺骨からダイヤモンドを作るには最低300gが必要なようです。

これは平均的な遺骨の量の1/5から1/4になります。

遺骨のダイヤモンドはどんな色になる?

通常のダイヤモンドは無色透明なイメージがあるかと思いますが、遺灰から作るダイヤモンドは青みがかかった色になります。

これは炭素を抽出する際にわずかに残る不純物(0.01%以下)の影響によるもので、この不純物の量によって青みの濃さが変わってきます。

ペットの遺骨からでもダイヤモンドは作れる?

可能ですが、ペットの大きさによっては骨だけで足りないこともあり、その場合は毛髪などを材料にする場合があります。

遺骨が原料という決定的な証明はできない

遺骨から製造したダイヤモンドとはいえ、ダイヤモンドそのものにはDNAなど遺伝情報は含まれないので、間違いなく遺骨から作ったという証明ができません。

あってはいけないことですが、悪徳な業者が詐欺的なことをする可能性も0ではありません。

遺骨というとてもデリケートなものを、全部ではないといえ渡す必要がありますし、絶対的な証明ができない以上お互いの信用のもとに成り立っているというのが現状です。

ですので、大切な人の遺骨から作ったことの証明を何が何でもほしい、という方には向かないサービスといえます。

法律や倫理的に問題はないのか

遺骨を加工するということは、やはり法律面が気になります。

刑法190条には『遺骨を損壊した者は3年以下の懲役に処する』と書いてあり、炭素を抽出してダイヤモンドを作る工程は損壊に当たる、という弁護士の見解もあります。

ただ、悪意がなく「節度をもって行われる限り問題はない」という法務省の考えがベースになるようです。

この場合の節度のとらえ方については、日本人の宗教観から見て違和感がないか、というのが判断基準になります。

つまり、日本は遺灰や遺骨など、死者の肉体(の一部)を大切にする考えがあります。

そして亡くなられた人の遺骨をダイヤモンドにして大切に保管することは、物のかたちを変えるだけで、故人を大切にする想いは変わりません。

しかも、遺灰を撒く散骨に比べて、小さな宝石にすることは他人に影響や迷惑もかかりにくく、むしろ日本のスタイルに合っているようにも思えます。

ダイヤモンドを作る費用の相場は

人工とはいえダイヤモンドを作るとなれば、やっぱり気になるのが価格ですよね。以下にアルゴダンザ社のサービス料金をまとめました。

サイズ 保障重量範囲 カットダイヤモンド 原石
0.20ct 0.16ct-0.25ct 480,000円 420,000円
0.25ct 0.21ct-0.25ct 580,000円 460,000円
0.30ct 0.26ct-0.35ct 680,000円 540,000円
0.40ct 0.36ct-0.45ct 880,000円 700,000円
0.50ct 0.46ct-0.55ct 1,120,000円 920,000円
0.60ct 0.56ct-0.65ct 1,420,000円 1,180,000円
0.70ct 0.66ct-0.75ct 1,680,000円 1,360,000円
0.80ct 0.76ct-0.85ct 1,980,000円 1,580,000円
0.90ct 0.86ct-0.95ct 2,240,000円 1,780,000円
1.00ct 0.96ct-1.05ct 2,480,000円 1,980,000円

※ ct(カラット)は宝石の質量を表す単位で、1カラットは0.2グラムです。

少子化、孤独死の時代の新しい埋葬の形として

先が暗くなる話ですが、今の日本は超高齢、少子化の社会ですよね。

結婚しても子供を作らなかったり、生涯独身の人の割合も年々増加しており、もし自分が亡くなったらお墓のことや、その後のことに不安になる方も多いと思います。

そもそも家を継ぐという意識が少なくなっている今、お墓の維持が負担になり「墓じまい」をする家もふえています。

そんな時代の新しいお別れのかたちとして、ダイヤモンド葬は物珍しさだけではなく、新しいニーズを掴む可能性もあるサービスに感じます。

記事のまとめ

遺骨(遺灰)に含まれる炭素からダイヤモンドを作るダイヤモンド葬。

少子化や価値観の変化で家を継ぐ、お墓を守るといった意識も変わっていく中、故人の形見としてずっと側に置いておく新しいあり方が注目されています。

万人が選べるサービスではないと思いますが、ある意味、一番大切な人を一番美しい姿で残せるわけで、とてもロマンチックですしちょっといいなと素直に思いました。

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