車のタイヤも自転車用の空気入れが使える、というとびっくりされることがあります。
正確には米式バルブ対応でないとダメなのですが、そうした知識を含め、タイヤのバルブについての基礎知識をまとめました。
管理人タノスケは高校生の時にアルバイトの給料でマウンテンバイクを買い(当時流行っていた)、大学時代は琵琶湖一周したり東京から大阪まで自転車走破したりしてました。
バルブのことを知っていると、いざトラブルが起きた時に役立つかもしれません。
タイヤのバルブの種類は3つ!
タイヤ(チューブ)のバルブですが、現在3つの種類があります。
・仏式バルブ(フレンチバルブ)
・米式バルブ(シュレーダーバルブ)
それぞれのバルブの特徴について以下で解説していきますね。
家にある自転車(ママチャリ、電動アシスト自転車、ミニベロ(タイヤの小さいスポーツ自転車)がちょうど、英、米、仏のチューブに分かれていたので写真も撮りました。
①英式バルブ(ウッズバルブ)
シティサイクル、いわゆるママチャリでよく見かける最も一般的なタイプが英式バルブ。
日本の一般的な自転車の代名詞的バルブですね。
英語名はウッズバルブ、もしくはタイヤメーカーでおなじみのダンロップ社が開発したことから、ダンロップバルブと呼ばれることもあります。
自転車だけでなく車椅子などにも使われていますし、自転車用の空気入れならすべての商品が対応しているといっても過言ではありません。
ちなみに英式と言いながら現在のイギリスではまったく主流ではありません(英国含むヨーロッパでは仏式が多い)。
バルブの先端についている黒いキャップを外すと、空気を入れるための穴があります。
ちなみに黒いキャップを外しても(上の写真の状態)空気が抜けることはありません。英式バルブは先端のバルブ部分が別パーツになっており、中の虫ゴムが劣化してきたらバルブごと簡単に交換ができます。
しかも虫ゴムは必ず経年劣化して空気漏れしますが、ゴムを使わないスーパーバルブという商品もあり(ダイソーなど100均でも買える)、空気の抜けを抑えることもできます。
英式バルブのメリット
英式バルブのメリットは、まずチューブの値段が安いことです。
また、日本や最も普及しているタイプなので、近所のホームセンターや自転車や、スーパーマーケットなどで手軽に入手が可能。
たとえば自転車でツーリングしていてタイヤにトラブルが起きても、英式バルブのチューブなら入手しやすいですし、サイズが多く揃っていることが多いです。
しかもバルブ部分が別パーツなので、劣化したら交換すればまた新品状態に。構造そのものも単純なので壊れることが少ないです。
英式バルブのデメリット
英式バルブは構造上、あまり空気圧を高くすることができません。
たとえばタイヤの細いロードバイクなど7気圧といった高圧も一般的ですが、英式バルブでは不可能(そもそもロード用のチューブで英式はまずありませんが)。
通常3~3.5気圧程度にすることが多いシティサイクルなら大きな問題はありません。
ただ、これも仕組み上必ず空気が抜けてくるので、定期的に空気を入れなおす必要があります。バルブの虫ゴムが劣化すると、空気の抜けはひどくなります。
自分の自転車のタイヤの空気が抜けてて、パンクだと思って自転車屋に行ったら虫ゴムの劣化だった、という経験はありませんか?
チューブに穴が開いてなくても、ゴムが劣化するとそこから中の空気が漏れるのでパンクと同じ状態になるのが理由です。
②仏式バルブ(フレンチバルブ)
バルブの先端にぴょこっと飛び出た棒が特徴的な仏式バルブ。
ロードレーサーやクロスバイク、MTB、シクロクロスバイクなどいわゆるスポーツサイクルのタイヤチューブによく使われています。
理由は英式バルブに比べて圧倒的に空気圧を高くできること。
指で強く押さえてもまったく凹まないような高圧タイヤにするには、仏式バルブが最も最適なかたちをしています。
特に、チューブラーと呼ばれる、チューブとタイヤが一体成型になっている競技用のタイヤなど、ほぼこの仏式バルブの専売特許という感じです。
仏式バルブはねじ込まれている小さなボルトを緩め、先端を押すことで空気を自在に抜くことができます。
バルブの内部は金属の弁になっており、虫ゴムの英式に比べたら空気が抜けるのも遅いです(といっても時間が経てば空気圧は下がってきますが)。
ただし、空気を入れる時に斜めに挿しすぎたり、無理に捻ったりするとバルブから飛び出る金属の棒が折れることもあるので注意が必要です。
仏式バルブのメリット
仏式バルブは構造上、軽いのが大きなメリット。重量が走行性能や疲れに直結する自転車競技で有利にはたらきます。
また、バルブの直径が6mmと、米式、英式(ともに8mm)に比べて小さいので、より細いチューブが作れるのでロードレーサー向き。
空気を高圧に入れられるので、タイヤが変形しにくく軽い走行感を得られます。
仏式バルブのデメリット
普通の自転車しか乗らない方にとって、仏式バルブは使うことがないとは思いますがデメリットは以下のとおりです。
まずは空気の入れ方が若干手間な部分です。バルブキャップを外して中のネジを緩め、先端をちょっと押してエアーを抜いてから空気を入れる必要があります。
また、ホームセンターで1,000円くらいで売っている安い空気入れでは、仏式バルブは対応しないことがほとんど。
バルブの直径が小さいので、自転車のリム(ホイール)の穴にそのまま入れるとスカスカになるのでアダプタが必要など、他のバルブ向けのパーツと互換性に乏しいのも欠点ですね。
③米式バルブ(シュレーダーバルブ)
バルブの根本から先端まで一本の筒のような形状が特徴的な米式バルブ。シュレーダーバルブ、アメリカンバルブと呼ばれたりもします。
バルブの構造がとてもゴツく頑丈なので、マウンテンバイクやビーチクルーザー、BMXなどタイヤが太く悪路を走れる自転車によく使われます。
最近は電動アシスト自転車が人気ですが、重量に耐えるためタイヤが太く、米式バルブのチューブが装着されていることも多いです。
金属製の筒の中心にネジのような細い棒が見えます。ここを押している間だけ空気が抜ける仕組みなので、空気圧を微調整することができます。
米式も英式に比べて空気を高圧にでき、かつ入れた空気が抜けにくい構造に。また、米式バルブはガソリンスタンドで空気を入れてもらうことができます。
英式バルブに比べてほぼすべての面ですぐれているので、軽快車やシティサイクルなどを買ったら米式のチューブに交換しておくと、その後の空気漏れなどのトラブルを防げるのでオススメです。
米式バルブのメリット
タイヤバルブの中で最も空気が漏れにくいので、しょっちゅう空気入れで補充をする必要がありません。
また、バルブの直径が英式バルブとほぼ同じなので、一般的なママチャリでもそのままチューブを交換して使えます。
米式バルブのデメリット
米式バルブが頑強なぶん大きく重いので、軽さが重要なロードレーサーなどには向きません。
また英式のようにバルブを容易に交換できないので、万が一壊れたらチューブごと交換になってしまいます。
仏式に比べれば少ないですが、まれに安い空気入れでは対応していない場合もあります。
バイクと車のタイヤバルブは実は米式
これ、意外と知らない方が多いのですが、バイクと車のタイヤのバルブは同じでどちらも米式が使われています。
これはバイクのタイヤバルブ。
バルブの内部を見ると、自転車用米式バルブと同じ構造なのがわかります。
こちらは車のタイヤバルブですが、明らかにバイクと同じですよね。
つまり、バイクでも車でもタイヤのバルブは同じで、空気を入れるという意味では大きいか小さいかの違いしかありません。
また、バイクや車のタイヤバルブが米式なのはきちんと理由があり、それはバルブの中で最も空気が漏れにくく頑丈だからです。
車やバイクのタイヤがいつの間にか空気が抜けてたら怖すぎますよね。
自転車ならコケたで済むかもしれませんが、バイクや車でタイヤのトラブルが起きたら即大事故につながる危険もあります。
だから、空気漏れしにくく耐久性が高い米式バルブが使われているんですね。
だから自転車用の空気入れが使える(米式対応なら)
先ほど、米式バルブの自転車はガソリンスタンドで空気を入れられると書きました。
つまり逆をいえば、米式バルブ対応の自転車用空気入れを持っていたら、自分で車やバイクの空気を入れられるということです。
米式のエア漏れが少ないとはいえ、長い時間が経てばやっぱり空気圧はだんだん下がってくるもの。
ガソリンスタンドで忘れた頃に空気圧を見てもらうよりは、できれば1~2ヶ月に1回くらいは、タイヤの空気圧チェックをするのが理想的です。
空気圧が低いと目に見えて燃費が悪くなるので、空気圧の管理はとても大事です。
自分で簡単に車やバイクなどの空気を入れられる電動コンプレッサー「エアホークプロ」を使ってみました。詳細なレビューはこちら↓
さらに米式は車やバイクにも使われているバルブ。
つまり、米式対応の空気入れを持っていたら、自分で自動車やバイクの空気を入れたり、空気圧管理することができます。