大切なマイカーがある日突然、姿を消してしまう・・・想像したくもない事態ですよね。
ですがクルマの盗難はけっして他人事ではありません。実際に、2017年だけで10,213件もの自動車盗難事件が発生しています。
そして最近増加しているのが、リレーアタックという盗難方法。私はリレーアタックを知らなかったのですが、先日新車を購入した友人から聞いてその恐ろしさに戦慄しました。
しかも大阪市や東大阪市で被害も出ています。私もそう遠くない場所に住んでいるので他人事じゃないんですよね。。。
このページでは、リレーアタックの内容や有効な対策など調べてまとめてみました。
▼盗まれやすい車種のデータです。こちらもぜひチェックしてみてください。
リレーアタックは電波を盗んでコピーする
リレーアタックとは、自動車のスマートキーを狙った盗難の手口です。
スマートキーの電波をハッキングしてロック解除、エンジン始動し走り去ってしまうというもの。わずか10秒ほどで車を盗まれることもあります。
スマートキーは常に微弱な電波を出しているのですが、リレーアタックで使う特殊な機器でこの電波をキャッチして同じ電波をコピーしてしまいます。
すると車側は同じ電波なのでスマートキーからの信号と判断し、ドアロック解除やエンジン始動ができてしまうというわけです。
以下にわかりやすい動画があるのでご参考ください。
このように、リレーアタックは何人かのチームによって行われるようです。
犯人Aが車体から発せられる電波をキャッチし、その電波を持ち主を尾行している犯人Bに届け、持ち主のスマートキーから出る電波と照合させてロック解錠、そのまま乗って走り去るという流れです。
当然ですがスマートキーには車体と紐付けられたIDなど電子暗号があるのですが、セキュリティ情報を含んだ信号をそのまま盗まれるので、難なく解除されてしまいます。
また、リレーアタックが怖いのは「車を盗んでいるように見られにくい」こともあると思います。
つまりガラスを割ったり鍵をガチャガチャすることなく解錠できるので、まるでその車の持ち主のように普通に乗って走り去ることができます。
リレーアタックに遭いやすい場所
リレーアタックをされやすい場所はつまり、悪意を持った人間に近づかれやすいところになります。
たとえば動画にもあった大きな駐車場があるショッピングモールなどですね。特に休日のショッピングモールは人で溢れているので、人混みに紛れて尾行されて電波を傍受されても気がつきません。
同じ理由でテーマパークなども要注意。しっかり施錠して買い物をすませて駐車場に戻ってきたら車がない・・・なんて最悪のケースも考えられます。
また、自宅のガレージでも実は安心できません。玄関の壁あたりにフックをつけて、そこにスマートキーや家の鍵を引っ掛けている方は注意が必要です。
スマートキーの種類にもよりますが、場合によっては外まで電波が届いているとキャッチされ、ガレージの車をいともたやすく盗まれるかもしれません。
またマンションにお住まいの方でも、普段見かけない人が後ろを歩いてくるなど不審な行動はリレーアタックを仕掛けられている可能性があります。
これが有効!リレーアタック対策
リレーアタックを防ぐのに有効な対策をまとめました。
リレーアタック対策①【電波を遮断させる】
これが、もっとも安価にできて有効なリレーアタック対策ではないでしょうか。
電波を盗み取られるなら、その電波を遮断すればいいという単純な理屈です。金属製の缶などにスマートキーを入れることで電波を遮断できます。
家でスマートキーを保管するのに有効ですね。
▼実際に100均でいろいろ缶を買ってきて、どの素材が最も効果があるのか検証しました。
外に持ち出す時にさすがに缶に入れたままは無理があるので、電波を遮断する専用のポーチがおすすめです。最近はAmazon.comでも電波遮断ポーチがたくさん販売されています。
値段も1,000円前後とリーズナブルなので導入しやすいですね。
ただ、自分が車に乗る時はいちいちポーチからスマートキーを取り出さないといけません。若干スマートさは薄れますが、安心を考えたらそうも言ってられない気もします。
リレーアタック対策②【物理的なロック】
ハンドルやタイヤを専用の商品でロックすることで、車を動けなくするのも有効です。
昔からあるアナログな方法ですが、盗むためにはこれらのロックを破壊しなければいけません。しかもロックされていることがひと目でわかるので、盗難のターゲットにされる確率が減ります。
よほどの理由がないかぎり、わざわざ盗みにくそうな車に手を出す人間は少ないですよね。犯行に時間がかかるほど見つかる確率も上がりますし。
盗難の手口がハイテク化するほど、逆にローテクなこれらの方法の輝きが増すように思えます。
リレーアタック対策③【対応済みセキュリティ機器】
不正なドア開閉や振動で警報などを発するセキュリティシステムですが、リレーアタックに対応している商品があります。
非対応の機器だとスマートキーでロック解除するとセキュリティも無効になってしまいますが、対応品は機器側の操作とドアロックが連動しているので、たとえリモコンの電波を傍受されても開錠されることはありません。
今はまだ対応品が少ないですが、リレーアタックが広まるにつれて商品も増えていくのではないでしょうか。
そもそもスマートキーにスイッチがあれば
これは対策というより個人的に思うのですが、スマートキー本体に電波の発信をコントロールするスイッチがあればいいのにと思います。
スイッチを切っておけば電波は発信されず、乗車する時だけオンにすれば電波を盗まれる可能性も減ります。スイッチを操作するという一手間かかりますが、それほど面倒な作業ではないでしょう。
技術的にはすぐできそうな気はするのですが、やっぱり鍵を手にしなくても乗車できるというのが譲れない部分なんでしょうか・・・。
【追記】2012年以降のトヨタ車ではスマートキーの節電モードの設定ができます。スマートキーの施錠ボタンを押しながら解錠ボタンを押し、インジケータが4回点滅すればOK。
解除はどれかのボタンを押せばできます。もともとスマートキーのバッテリー節約のためにあった機能ですが、電波を飛ばさなくなるのでリレーアタックにも有効とのこと。
2012年12月に発売されたクラウン以降の新型車に対応しているようなので、該当する方は一度試してみてはどうでしょうか。
リレーアタック以外にも!主な車盗難の手口
車は高価なものですし、バラバラにしてパーツで売っても大きな利益になるので、昔からずっと盗難のターゲットにされてきました。
ここでは、リレーアタックの他に車盗難でどんな手口があるかまとめています。
イモビライザー無効化
リレーアタック以前に盗難の手口として流行したのがイモビライザーの無効化。
イモビライザーとは、鍵の内部に埋め込まれたID情報と車体のID情報を照合し、一致した場合のみエンジンを始動できるセキュリティのシステムです。
このイモビライザーに対し、イモビカッターという専用の機器を使うことでIDが無効化されてエンジンがかかってしまうというもの。
イモビカッターを無効化するイモビカッターガード的な対策品がでたら、今度はそのガードを破る商品がでたり、まさにいたちごっこ状態になっていました。
窓ガラスを割る、鍵のピッキング
荒っぽい手段ですが、今でも車上荒らしなどに遭う場合は窓ガラスや鍵を破壊される場合が多いですよね。
さすがにスマートキーの車では盗まれるまではいきませんが、セキュリティのない旧車や商用車などに乗られている方は注意するべきです。
キーシリンダーごと破壊されて、いわゆる直結(電源とメインスチッチ、セルスターターの配線をつなぐ)されればあっという間にエンジンを掛けられて盗まれてしまいます。
レッカー車でそのまま移動
まるでマンガみたいな話ですが、レッカー車で乗り付けてきてそのまま持っていってしまう、という盗難も実際に発生しています。
こうなるともう完全にプロの窃盗団の仕業。目を引く高級車など以前からずっとマークされていて被害に遭う、などといったケースですね。
車ごと運ばれるわけなので、スマートキーやイモビライザーはもちろん、ハンドルロックなどもまるで役に立ちません。
盗まれて海外に運ばれそこで売られるか、バラバラにされてパーツで裁かれるかという感じです。